ポールケアホルムに付いて

ポールケアホルムの思い出は語り尽くせないほどあります。 2002年にローレイダーを運営してた時に、となりのイケてる本屋の浜田さんにE-KOLD製という古いケアホルムに付いて教えてもらいました。そのまま店に戻り当時ハマっていたLauritzのオークションで手始めにPK-22を落札します。7,000DKK(2002年は1DKK=16円)でした。到着したPK-22は革が予想以上に経たっていて椅子のスチールの貫に座っている感覚がお尻に伝わってきました。うわ、、最悪な座り心地。それが最初のPKの印象です。そのまま就寝して朝起きるとその椅子が大変なことになっていました。なんと我が家の猫ちゃんが思いっきりガリガリして見るも無惨にしてしまったのです。

その後、綺麗に張り替えてお店に熱心に通っていた若者に販売しました。

次に手に入れたのはPK-20。

E-bayで2,000ドルで落札しました。
目黒のお店に到着した箱がとんでもなく大きくて驚いたのが最初の印象です。路上駐車もOKな時代でしたので、路上で開梱作業も当たり前でした。そのPK-20もやはりフレームの座っている印象。ただ、こちらはフレームが大きかったのでそこまで鋭利な感じはしませんでした。少し破れていましたがそのまま心地よく使用していました。お店を辞める時に当時通ってくださった方にお譲りしました。今でも綺麗に使用されているようすをたまにSNSで見られることが嬉しいです。

そして我がPK人生を揺るがす出来事があります。ローレイダーを運営していた時にやってきたカメラマン(コモエスタ八重樫さんの建物についての撮影をしてる)伊東さんと出会います。伊東さんから新宿にとんでもないリサイクル屋があることを聞きます。そこには倉俣さんの家具やPKなどが沢山あるというのです。伊東さんが帰ると直ぐにお店を閉めてとりあえず新宿に向かいました。まだ当時はインターネットやグーグルで検索しても店名も出てこない時代です。電話ボックスを探して中にあるイエローページで骨董屋を検索。なんとなく宛をつけて車で近くまで向かいます。なんとなく恐る恐る店内に入り、ポールケアホルムありますか?と突然聞いてみました、そうしたたら強面の60前後の男性が『幾らで買う!』って。とりあえずうーん、200万と告げたらじゃあ300万だと。よくある骨董屋の駆け引きです。その場はとりあえず流して、モノを見せてもらいました。あるではないですか!PK-31ソファが3人掛けと2人掛け、PK-33丸スツールが2個、そして珍しいPK-64ガラステーブルがセットアップされていました。まさかデンマークでも目にしないスペシャルセットです。それが新宿に!聞けば下北沢の建築家の自邸からの出物らしく、他にもスワンチェアなどがあったようです。そのセットは由緒正しく松屋銀座で開催された最初の北欧展で購入されたようです。1962年当時はまだデンマーク家具など知る方は余程のお金持ちのみだったと思います。そのお金持ちの中でも粋な方々が購入をしたそうです。濱田庄司や柳宗悦(宗理のお父さん)などが購入したそうです。現在のPKの価値より遥かに高いそうです。 このセットですがしばらくスルーすることにしました。

 

そして私はお得意のLauritzで2人掛けのソファを落札します。DKK20,000(約32万)でした。綺麗に経年したそのソファは我が家のお気に入りになり長らく使用しました。これは未だに誰に売却したか記憶にありません。。。革張りのソファのクッションはフェザーが中材として使用されていました。定期的に陰干しすると程よくふわりとして気持ちよかったです。何より経年したシットリとした革が肌に当たる感触が絶妙でした。

さて、少し落ち着きまして(思い出すと興奮するので、、)。骨董屋のPKの話に戻ります。PKのソファで寛いでいると電話がなりました。なんとなんと例の骨董屋のおやじからです。他に欲しいものがあるから言い値で売るっていうのです!ヨシキタ!と交渉してささっとまとめて、気が変わらないうちに振込を済ませて、運送の手配をして。。やりました!私の堪え勝ちです!しかし、当時私は箱根に家を購入する事を決めていてゆとりがありませんでした。このソファはなるべくなら近い人に販売しようと思い福岡のorganの武末さんに話をしました。快くソファのセットを購入いただきました。

今でもたまに座ることのあるそのセット。思い出が込み上げてきます。私は丸スツールを2脚箱根の家に持っていきました。

雑誌の取材で『売らないよこれは!』なんて宣言しておいて雑誌がでるころには海外から来たディーラーに売り飛ばしてしまいました。

骨董屋のおやじも賢く、サザビーズと付き合いがあるのでその時になぜかPKバブルが来ていて、レアなガラステーブルはサザビーズに出品して良い落札結果を得ていました。

さて、私のPK熱はだいぶ覚めたのですが未だに忘れられない作品があります。

 

ファイルキャビネットです。このキャビネットの凜とした美しさはなんとも言えないです。私の知人がNYで売りにだしています。もし欲しい方がいましたら是非。

そして今、手元に福岡ではいや日本でナンバーワンのケアホルムを扱う方が販売したPK-9とPK-54のセットが私の手元にやってきました。同時にPK-20もやってきました。

改めて私はモノに呼ばれているなあと自画自賛して今日のブログを〆ます。

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