Taichiro Nakai sofa and pair of lounge chair and table made by La Permanente Mobili Cantu
Taichiro Nakai sofa and pair of lounge chair and table made by La Permanente Mobili Cantu
Designer: Taichiro Nakai
Manufactured by La Permanente Mobili Cantu
Year: 1961
1955年イタリア北部の町Cantuで開催されたコンペで特別賞を受賞した日本人がいました。そのコンペは技術力のある家具作りの街がデザイン性のある商品を開発しようと企画したコンペでした。ジオ・ポンティ、アルヴァー・アアルト、フィン・ユールと当時の世界の巨匠がそのコンペの審査員だったことは特筆すべきことだと思います。
Taichiro Nakaiその名を世界に轟かせた彼は1960年代までCantuの街からプロダクトを発表します。オーガニックなデザインのソファ、可動式なシェルフなど今でも通用するであろう機能美のあるプロダクトを発表していました。Cantuのコンペには北欧フィンランドの巨匠であるイルマリ・タピオヴァーラも参加しプロダクトを発表しています。彼の代表作ドムスもイタリアらしい名前なのも納得できます。
中井太一郎はJIDA(公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会)の設立時のメンバー。参考写真の前列一番左端です。よく見ると同じ列に柳宗理さん、渡辺力さんがいます。それ以外はどこを検索しても日本のウェブには引っかかりません。どうやら日本ではプロダクトデザインを自身の名前で発表していなかったと推測できます。
2004年頃から私はジャパニーズモダンの研究と題して、坂倉さんや剣持さんのプロダクトを集めて来ました。コネクトオークションの第3回目は日本デザインがテーマ。坂倉さんから当時の現役デザイナーまで網羅したオークションを開催しました。後にPhillipsで坂倉さんの小椅子をはじめて歴史的説明をつけて価値を付けたのも私です。ただ中井さんの名前はまったく知らなかった。2022年にまたヴィンテージ家具屋をはじめた折に知人のコーディネート物件での相談ではじめてその名前を知りました。よくよく調べるとフランスのギャラリーで綺麗にコーディネートされている写真を見かけました。すぐにギャラリーにコンタクトを取ると既に在庫はなく、多くはNYやParisに旅立っと。そして仲の良いNYのギャラリーで見かけたり彼のプロダクトの存在が気になり出しました。
たまたま昨年よりイタリアデザインにハマり、イタリアに倉庫を借りてデザインの収集をしている際にこのレアはソファセットを手に入れました。ローマの個人邸より売りに出されたセット(他にもキャビネットなどもあったそうですが)を購入。1961年にデザインされたソファのセットはとてもレアでおそらくCantuでのプロダクトの中でも中井さんの晩年にあたると思われます。それまで木製でデザインされたフレームはスチールに変わりましたが、中井さんのフォルムはそのままです。実はソファがソファベッドとしても利用できます。ただイタリアのソファベッドは背もたれが倒れたりしない単純に座面が引き出せて少し広くなるだけのプロダクト。これはマルコ・ザヌーゾのソファベッドでも見られる形状です。
中井さんがなぜ今、魅力的で注目されるのか考えました。中井さんのプロダクト、特にソファはフレンチデザインとコーディネートされることが多いようです。プルーヴェのラウンジチェアにペリアンのスツールやテーブル、そこに中井さんのソファがコーディネートされるようです。歴史的にも日本人の名前は響くのでしょう。Isamu Nouchiなどと同列と考えて評価したのかもしれません。価格もコントロールされ、ソファ1つでNY 100,000ドル、Paris 80,000ユーロと高額で取引されています。おそらくプルーヴェ、ペリアンと価格の見合うモノに昇華させたと思われます。ダイニングセットが3,000万、ソファセットが3,000万と価格的にバリューを付けたかったと思います。
ラウンジセットはこの世で今まで見かけたことはありません。バリューももちろん、歴史的価値、希少性を考慮して2200万税込の価格を設定しました。現在、ウレタンフォームが劣化しており張り替えが必要です。ソファベッドも機能が少し劣化しているのでレストアが必要です。2200万の価格にはレストア代金も含まれています。
購入前にまずはご相談ください。hntk10@gmail.com
送料のみ別途必要となります。
写真 Simon Narita